市街化調整区域 緩和規制のあれこれ
市街化を抑制する区域、
「市街化調整区域」
この区域ではお店の出店、会社設立などが出来ず、場所によっては引っ越してくることすら許されません。
では、全国津々浦々、全ての市街化調整区域で厳しい規制がかかっているのでしょうか?
実は、そうではありません。
基本の法律は厳しい規制だが、多くの場合、条例などで緩和されています。
どんな場所が市街化調整区域?
前回の記事にも記載したように、市街化調整区域に指定されている場所は
『市街地近郊の田舎』です。
「???????」ってなった方も多いかもしれません。
例として、千葉、兵庫、大阪の地図を見てください。
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青・・・市街化区域
赤・・・市街化調整区域
白・・・非線引き区域・市街化区域外 です。
土地勘のない人には「?????」だと思いますが、ご了承ください。
これを見ると、
『市街地近郊の田舎』という表現が分かると思います。
法律制定前から建ってる家は?
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この法律ができたのが昭和43年
全国で区域分けがされたのは、昭和43~49年頃
(この区域分けのことを、一般的に『線引き』と言います。)
その地域に住んでいた人は、ある日突然厳しい規制をかけられることになりました。
普通なら「いやいや、国の都合で勝手に決めるなよ!」となりますよね?
そのため、現在でも「線引き前に建てられた建物は規制が緩い」状態になっています。
他人に賃貸してはいけない地域に建物がある場合、線引き前の建物は賃貸可。線引き後の建物は賃貸不可。というパターンが多いようです。
市街化調整区域だけど、大きな集落
市街化調整区域の中には、
「そんなに田舎では無いし、家もたくさん建っている」地域があります。
しかも、線引きされてから40年以上が経っています。
農家じゃない家もずいぶん増えています。
いつまでも昔の法律のまま縛るのは難しい地域。
こういう地域は条例で規制緩和されています。
例えば『都市計画法 34条第11号規定』では
○○戸以上の集落を形成している地域では、農家以外が住んでも良いことになっている。
また、賃貸や売買もOKです。
ただ、商売は出来ないので、賃貸アパートを建築することは基本的に出来ません。
ちなみに、規制緩和されているとはいえ、古民家カフェなどの空き家活用はほとんど出来ません。
「住む」ことだけはOKという訳です。
市街化調整区域なのに、新興住宅地
小高い丘を開発して、500戸ほどの家が立ち並ぶ住宅街。
その住宅街の中には、市街化調整区域に指定された地域も存在します。
なぜ???
答えはひとつではありませんが、
例えば私の事務所がある滋賀県湖南市では、
「線引き前に宅地開発が始まり、家が建つ前に線引きされてしまった住宅地」があります。
せっかく宅地造成したのに、後から法律が出来て家を売ってはいけませんと言われても、「承知しました」とは言えません。
ですので、こういう地域は市街化調整区域でありながら、規制は緩く設定されています。
自治体ごとに条例を制定
国で定められた都市計画法があるとしても、条令を決める権限は各自治体にあります。
なので、全国各地の市街化調整区域では、さまざまな条例によって規制緩和されているようです。
たとえば、兵庫県では「特別指定区域制度」という県が定めた制度があります。
それでも空き家利用には向かない「市街化調整区域」
全国には、市街化調整区域の規制を緩和する制度がたくさんあります。
しかし、空き家を利用してお店を開いたり、民泊で観光客を誘致したり。
こういった空き家活用は、まだまだ難しい状況です。
市街化調整区域でも確実に人口が減っていきます。
今後、市街化調整区域で空き家活用を自由にできるには、もう少し時間がかかるかもしれません。