メニューを閉じる

.



メニューを閉じる

田舎暮らしと市街化調整区域のお話

 

 

 

 


 

 

都市計画法で分けられた4つの区域

 

市街化区域という言葉、知ってますか?

日本の土地は、都市計画法という法律で、大きく分けて4つの区域に分かれています。

・市街化区域
・市街化調整区域
・非線引き区域
・市街化区域外 です。

 

簡単に説明すると、

町を形成しているところはほとんどが市街化区域です。
住宅街・商業地・工業地などです。

市街化区域の近くの田舎は、多くが市街化調整区域です。
田んぼと集落、旧市街地が多い地域です。

非線引き区域とは、市街化調整区域よりさらに田舎の区域です。

この流れでいうとお分かりだと思いますが、
市街化区域外は、いわゆる「ど田舎」です。
法律で開発の抑制をかけなくても、市街化することはないだろうという区域です。

 

 

言葉だけでは分かりにくいので、
すごく分かりやすい県「兵庫県」の地図を見てみます。

 

 


 

 

兵庫県の都会と言えば、西宮市・神戸市・姫路市など、全て瀬戸内海側。
北に上がれば上がるほど、都会から離れていきます。

なので、瀬戸内海沿いが『市街化区域』
三木市などのちょっと北側が『市街化調整区域』
中間から北側は『非線引き区域』か『市街化区域外』です。

 

 

 

この区域分けが田舎の発展に不可欠

 

 


 

 

空き家を再生して飲食店を始めました!とか
民泊してます。という話をよく聞くと思います。

現在、これが進んでいる地域は、「都会」か「田舎」です。
「少し田舎」の地域では、空き家の再生があまり進んでいないのです。

その理由が、『市街化調整区域』です。

 

市街化を調整するという意味は、市街化させないように制限をかけるということです。

この地域では、お店や事務所を開業がほとんどの場合出来ないのです。
もちろん、マンションやアパートの建設も、例外を除いては開発許可が下りません。

さらに、市街化調整区域の中には、土地を貸したり売ったりすることも出来ない地域もあるのです。
「この地域は農家が家を建てる場合のみ許可する」という地域です。
したがって、その家を建てた農家さん以外が住むことは許されないのです。

 

 

兵庫県で見てみると?

兵庫県の山間部の市町では、現在移住者の取り込み・空き家活用に、非常に力を入れています。

都会から来た移住者が空き家を活用して、カフェを開いたり、木工房を開業したり。
そういった希望を持つ移住者を、自治体も力強くバックアップしています。

 

しかし、もしこの地域が『市街化調整区域』だとしたら、どうなるのでしょう。

店を開業をしようにも、開発許可がなかなか下りません。

空き家に住むことすら出来ないかもしれません。

さらに、まちづくりの観点で、地域住民が空き家をサロンにし、1杯50円のコーヒーを販売することも、継続的に収益を得るのであればアウトです。(単発企画ならOKは出ます)

このように、市街化調整区域では非常に強い規制が決められています。

 

 

 

市街化調整区域が定められた背景

 


 

都市計画法が制定されたのは昭和43年。高度成長期の真っただ中でした。

人口が急激に増え、郊外での住宅地開発が全国各地でおこりました。

都心では地価が高騰し、サラリーマンは郊外に住居を求めるようになりました。

このままでは、都市機能が分散され、インフラ整備等にも莫大な費用がかかります。
また、都市近郊の里山が無差別に開発されると、自然破壊にも繋がります。

 

こういった背景から、都市近郊を市街化調整区域にし、無差別な開発を抑制したのです。

しかし、現在は人口減少や過疎化、働き方改革などから当時と状況が変わっていて、今の社会の流れには合わなくなってきています。

 

ちなみに、非線引き区域や市街化区域外は、「この地域は田舎だから、抑制しなくても無差別な開発はおこらないだろう」と、線引きが保留された地域です。

 

 

発展する田舎・発展しない田舎


 

一時、過疎化が急激に加速した田舎の市町は、非常に危機感を感じ、移住施策を講じました。
その結果、移住者が増え、話題性も高まり、空き家の有効活用も数多くされています。
この市町のほとんどが、開発許可の基準が厳しくない「非線引き区域」「市街化区域外」です。
規制が厳しくないので自由度が高い。面白いこともたくさんできる。

 

私の持論ですが、こういう地域が『発展する田舎』だと思います。

 

逆に、市街地からそれほど離れていないちょっと田舎の多くは「市街化調整区域」です。
上記にも述べたように、この区域は規制が強くて自由度が低い。
私は、この「市街化調整区域」こそが、今後大きく衰退していく『発展しない田舎』だと感じています。

といっても、県や自治体も何も策を講じていないわけではありません。

条例を定め規制を緩めたり、ある一定の開発や用途変更だけ許可できるようにするなど、発展するよう積極的に対策を講じている自治体も多くあります。

 

 

 

田舎暮らしをしたいなら

 

「田舎暮らししたいけど、あまり自信がないから市街地からほど近い田舎に移住する」

これは悪い選択ではありません。

しかし、お店をしたい!会社を設立したい!と思ってるなら、そこが「市街化調整区域」かどうかを事前に調べておくべきです。

また、「市街化調整区域」の場合でも、条例等で規制が緩和されている地域かを確認しましょう。

同じ地域でも、「駅周辺だけ市街化区域」ということもあります。
移住先候補地の役所に確認すると教えてくれますので、移住をする際は下調べを入念に行った方が良いでしょう。

 

 

 

ちなみに、市街化調整区域と一言で言っても、実は規制が緩和されるパターンがいくつかあります。
また、条例で規制が緩和されていることもあります。
それについては次回にご説明したいと思います。


  • この記事を書いた人

  • 吉田健太郎

  • 生まれも育ちも大阪。元賃貸仲介会社勤務。湖南市に移住し、空き家問題解決と地域活性の両方を実現すべく『こあき屋』を立ち上げる。歴史と自然好き

  • http://konanokoshi.wix.com/konan-okoshi