古民家は湿気に強い!?実はそれは昔と今の日本人の考え方の違いがあります。
このサイトを見ている人の多くは、『古民家暮らしに憧れている人』じゃないでしょうか?
とは言っても、実際に古民家に住むことに何らかの不安を感じている人も少なからずいると思います。
私も古民家にはいろんな不安要素を持っていた一人でしたが、いろいろ調べていくうちに「昔の人って本当にすごいんだな」と思えることに数多く遭遇しました。
そんな「すごい」の中から、今回は『湿気』についてお話しします。
ちなみに、ここで言う「古民家」は、築50年以上の伝統工法で建てられた木造建築の事を指します。
今の家と昔の家だとどちらが老朽しやすい!?
今の家は、昔より「持ち」が悪くなったと言われます。だいたい40年くらいでボロボロになってくるそうです。
それは、世界的に見ても非常に短い期間です。ヨーロッパでは100年以上の家なんて当たり前で、アパートなどは古い方が高いなんてことも良くあるそうです。
ただ、ここには地域の特性があります。
一般的に大きな要因の一つと言われているのが『湿気』です。日本は高温多湿で雨も多い。そのため、家の老朽化も進んでしまいます。
しかも、今の家は非常に気密性が高い。冬の朝、起きたら窓が真っ白で、水滴だらけだったという経験はありませんか?
これは気密性が高くて空気も逃げず、外と内の温度差が激しいために起こる現象です。
「湿気が溜まると、木を腐らし、老朽化が進んでいく」
これが一般論になります。
上記の理由は正解なのですが、本当の理由は「考え方の違い」から来ています。
ヨーロッパと日本の家への考え方の違いとは?
ヨーロッパは、「家は長く使うものだ」という考え方を持っています。中古の家に住むことに抵抗のある人は少なく、家具もそのまま使用するのも当たり前です。
日本人は違いますよね。
私は長年賃貸業界で働いていましたが、ほとんどの人が他人が使った家具は撤去してほしいと言われます。
新築と中古で条件があまり変わらないのなら、ほとんどの人が新築で契約します。
そう言った考え方を持っている人が多いので、家を購入するときに「この家100年持つんですか?!」と質問する人は少なく、綺麗さと機能性で選ぶことが多いようです。そして、自分1代限りで処分することに抵抗が無いため、100年持たなくても良いんです。
そもそもこの考え方は、戦後に生まれた考え方です。
高度成長期に、とにかくたくさん建てて売るという社会情勢の中で、必然的にこのような流れになっていったようです。
ちょっと前置きが長かったですが、ここからが本題です!
日本でも昔と今では考え方が違う!そしてそれが家に出ます。
物を大切にするっていう考え方。いわゆる「モッタイナイ」は、日本の古き良き考え方ですよね。
そうなんです。実は昔の家は、すごく長く使えてたんです。
昔の人は、モッタイナイ精神の元、家を長く使う工夫を数多く考えていたのです。昔の家は100年くらい普通に使えました。
先ほど述べたように、日本は「高温多湿」です。湿気が多いんです。
そのため、壁には湿気を吸う「土」を使いました。
天井裏には小窓のようなもの付けて、いつでも風が抜けるようにしました。現在の24時間換気システムみたいなもんですね。
またトイレやお風呂は建物の外に作り、出来る限り湿気が溜まらないようにしました。
「昔の家は隙間風が入って寒い」とよく言われますが、気密度を必要以上に高く作らなかったのも、湿気が溜まらない工夫からでした。
柱に使う木材も、ヒノキやケヤキなどの丈夫な木を使い、湿気による腐食やシロアリ被害から守ろうとしました。
昔の人は、湿気が溜まらないようにする工夫と、定期的なメンテナンスで、100年以上壊れない家を建てていたのです。
古民家は寒いので、この工夫が良いのかどうかは一概に言えませんが、日本の気候に適したものを作り上げてきた昔の人って、すごいなぁとあらためて思いました。
こういうことを知ることでもしかするとより古民家がいい!となるあなたは、古民家向きの方なのかも。