「昔の人はすごかった!」古民家と地震の関係性を書いてみました。
このサイトを見ている人の大半は、『古民家暮らしに憧れている人』じゃないでしょうか?
とは言っても、実際に古民家に住むことに何らかの不安を感じている人も少なからずいると思います。
私も古民家にはいろんな不安要素を持っていた一人でしたが、いろいろ調べていくうちに
「昔の人って本当にすごいんだな」と思えることに数多く遭遇しました。
そんな「すごい」の中から、今回は『地震』についてお話しします。
ちなみに、ここで言う「古民家」は、築50年以上の伝統工法で建てられた木造建築の事を指します。
古民家の床下を見た時の衝撃が忘れられません。
突然ですが、古民家の床下って見たことありますか?
私は初めて見たのは、古民家の改修工事に立ち会わせていただいた時です。
その時の衝撃は今でも覚えています。建物の全ての柱が、川で拾って来たような大きな石の上に乗っかってるだけなんです。
しかも当然コンクリートなんて無し。
土の上に大きな石を置いて、その上に柱を乗っけているだけ。柱と柱は釘も金具も使わずに、木と木を組み合わせているだけ。
「昔の家の作り方って、こんなに適当だったのか」と思った私。しかし、それは大きな間違いでした。
この一見雑そうに見える建て方こそが、地震大国日本で昔から引き継がれてきた、地震でも壊れない家づくりの神髄なんです。
古民家の地震への向き合い方。
古民家と今の家の建て方、地震に対する向き合い方ですが、これは今と昔の考え方の違いから来ています。
今は「地震に耐える」耐震構造の家が建てられます。
しっかりした基礎を打ち、地震の力が分散するように多くの強い壁を入れ、強い揺れにも影響されない軽い屋根を採用するなど、
近年建てられる家は『地震に強い家』なんです。
しかし古民家は、近年の家とは正反対。基礎はなく柱は石の上に乗っかってるだけ。
そこらじゅう開口だらけで、部屋同士の間仕切りもほとんど襖。壁は少ない。
屋根は重たい陶器製の瓦。
だけど、実は非常に地震に強いんです。
これは、今の「耐震」という考え方に対し、昔は「免震」という考え方で建てられていたから。
「免震」とは、簡単に言えば、揺れに耐えるんじゃなく「抵抗せずになすがままに揺られてしまおう」という考え方。
当然数々の技術が盛り込まれての話ですが、抵抗せずに家自体が地震と共に揺られることで、地震のエネルギーを吸収せずに逃がしてしまうのです。
阪神大震災の時、古民家はどうなったか。
古民家は、地震で揺られると家自体もそれに合わせて揺れたり動いたり飛び上がったりします。
グラグラ揺れます。たぶん家の中にいたら揺れすぎて生きた心地がしないと思います。
しかし、家の構造物がそれぞれの役割をし、地震エネルギーを吸収しながら絶妙なバランスを取って、元の姿を保つのです。
とは言え、当然揺れるので、瓦が落ちたり壁が崩れたり、家がずれて傾いたりします。
それでも大きく倒壊しないように工夫されているのです。「抵抗したって勝てないから、とにかく命が失われない家にする」という考え方だったんじゃないかなと私は思います。
現に阪神大震災後の調査では、倒壊した家のほとんどは古い「従来工法」の家でした。古民家のような「伝統工法」の家の多くは全壊せず、多少の破損はありながらも、姿を保っていたそうです。
まとめ
「古民家は地震に強い」と言っても、やはり今のハウスメーカーが建てた「耐震構造」の家の方が地震に強いと思います。それに、今と違って昔は大工さんが1軒1軒建てていたので、棟梁の技術の差で強さも異なります。地域によっても差があります。
なので一概に「古民家は地震に強い」とは言えません。
しかし、実際に大地震で倒壊しなかった古民家が多数あったというのも事実です。「へー、古民家の作りって免震構造って言うんだ」と頭の片隅に置いておくだけで、古民家の見方がちょっと変わるかもしれませんね。
それにしても、昔の人は自然に逆らわず上手く共存する方法を、代々継承しながら確立していったんだと思うと、
『昔の人はすごかったんだ』とつくづく感心してしまいます。